Gravityは2020.9.10に配信リリースされた。アニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」の主題歌に起用され、Gravityに合わせたスペシャルアニメーションも制作された。

映画も見たのだけれど、歌詞と物語の内容や主人公たちの気持ちが本当にぴったりで、藤くんが書く詞のすべてを内包するような大きさを改めて実感。

本質的な部分だけを上手に抽出しているから、人それぞれ多様性のある捉え方ができて、かつ大事な部分はちゃんと共有して伝わっているんじゃないかな。

BUMPをよく知らないで作品が好きでご覧になった方なら、映画に合わせて書いた歌詞だと思うかもしれない。

ということで、リスナーAである私はどんなふうに思ったのかを書くね。

Aメロ

帰ろうとしない帰り道 いつもどおり
視界の隅っこ ほとんど外 君が鼻をすすった
空を割る夕方のサイレン
給水塔の下 あれは蝙蝠

友達、恋人、一緒に暮らしていない家族、名前の付けようのない関係。僕と君がどんな関係なのかはわからないけれど、二人が同じ気持ちを共有し合ってきたことや、お互いを大事に思っていることが「帰ろうとしない帰り道 いつもどおり」だけで伝わってくる。

僕は君の隣で、給水塔の下の蝙蝠と一緒にほんのわずか君の姿を視界に捉えて君を感じている。 聞こえたのはサイレンと鼻をすすった音。僕らは黙ってただ一緒にいる。

Aメロ

僕らは時計を見ないようにしていたけど
そんな風にして時間に気付いてしまうから
かき消すように喋ろうとして
なんだかやっぱり黙ってしまう

終わって欲しくない、君と一緒にいられる今。

夕方になって寒くなってついに君が鼻をすすった音が聞こえて、いつまでもここでこうしていられないことを受け入れるべき時の訪れを感じてしまう。

「今、鼻をすすったのは寒いからそろそろ帰ろうって意味じゃない」ということにしたくて、まだまだおしゃべりすることがあるという、一緒にいる口実を作ろうとしてもうまく話を始められない。

こういう経験を誰もがしていると思う。もちろんこれからも何度もする。

離れがたい気持ち、伝えたい大切なことがあるのに、今伝えたい相手と一緒にいるのに、全然言えないまま過ごす時間。

君が何を考えているのかわからないような、自分と同じ気持ちでいてくれている気もするような、そしてどちらかを確かめられない感じ。

Bメロ

君の影の 君らしい揺れ方を
眺めているだけで 泣きそうになったよ

君じゃなくて影を見て、君が今ここに確かに生きていることを感じる僕。君の心、君との思い出、君への想い。様々なものが僕の心をいっぱいにして泣きそうになる僕。

こういう類の切なさを伴った愛が、藤くんらしいと思う。

最初のサビが始まる前にたった10行で、2時間の映画くらいの二人の物語を内包していて、もうラストシーンにたどり着いているようだ。

私のあまりにも貧弱な語彙力では、秀逸としか言いようがない。

サビ

見つけた言葉いくつ 繋げたって遠ざかる
今一番伝えたい想いが 胸の中 声を上げる
そんなの全て飛び越えて 子供のまま笑って
裸足のメロディー歌うから いつも今を許してしまう
笑顔のまま ずるいよな

秀逸な表現力がある人なのに、それでもこの状況における僕の気持ちを君に伝えるのに適切な言葉を紡げないでいるのだ。

或いは、秀逸な表現ができるほどに考え抜いて真実や根本を捉えられるからこそ、莫大な思考の中から適切なものを見つけられないのかもしれない。

伝えたいのに伝えられない痛いほど切実な気持ちでいっぱいの僕の心をよそに、純粋に笑ってあるがままに僕とここにいる君。

こっちは泣きそうになっているって言うのに、屈託なく笑っている君を、笑って許す僕。

僕の君に対する愛情の深さが伝わってくる。

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