
傷付いている友達や家族、大切な人に何を言えばいいのかわからない。どう接すればいいのかわからない。
その傷に触れるべきか、触れないべきか。いつも通りにしたらいいのか、いつもより優しくした方がいいのか。
考えれば考えるほど、わからなくなっていって結局何もできなくて。自分が余計にその人を傷つけているのかもしれないと思うこともある。
これまでもこれからも、私たちはこういうことを経験するだろう。
ウェザーリポートはそういう気持ちに向き合った曲。
この曲は二つの面からこういう状況に対する想いを綴っている。
ひとつは傷付いている大切な人を目の前にしている人の心模様。
何も言えないのは 何も言わないから
あんな事があったのに 笑うから
触れないのが思いやり そういう場合もあるけど
我ながら卑怯な言い訳 痛みを知るのがただ怖いだけ
大切な人が傷付いているのにその人は普段通りにしている、次にそういう状況にあなたが出くわしたら、今度はどうする?
触れて失敗したことも、触れなくて心残りのままのこともあると思う。
この唄のラストでどんな結論を出したのか見てみて欲しい。
もうひとつは、辛いのに、傷ついているのにそれを誰にも見せないで一人で抱えている人へのメッセージ。
あなたの その笑顔が 誰かの心を許すなら
せめて傘の内側は あなたを許して どうか見せて欲しい
あなたの その呼吸が あなたを何度責めたでしょう
それでも続く今日を 笑う前に 抱きしめて欲しい
「せめて傘の内側は」という表現があるのだけど、いろんな捉え方ができると思っていて、
ひとつは雨の日に二人で一緒にひとつの傘に入れるような心の距離の人には、あなたの心を見せて欲しい。
もうひとつは心の距離は関係なく、ほとんどもしくは全く関わりの無い人。そういう人なら関係が壊れることもないから、自分の気持ちを吐き出せると思えるのならそういう人に、あなたが一人で抱えている気持ちを見せて欲しい。
そしてもうひとつは、この曲を聴いている曲とあなたの二人きりの時。どうしても誰にも見せられないのなら、声に出して涙を流して気持ちを吐き出して欲しい。
あなたはどちらの立場にも、なりうるよね。今はどっちかな。
今あなたがどちら側なのかによって、捉え方が変わってくると思う。
歌詞とは正反対に曲はとても明るいの。
今あなたがどんな気持ちでいるとしても、世界は動いている。明日も日が昇りまた日が沈む。どこかで誰かが幸福にほころんで、また別の誰かが絶望に突き落とされて。
そしてあなたもいつかどこかで幸福にほころぶ。
そういうことの象徴のように。
あなたがあなたを抱きしめられるようになることを祈ってるよ。
楽曲情報
タイトル | ウェザーリポート |
作詞・作曲 | 藤原基央 |
編曲 | BUMP OF CHICKEN & MOR |
収録アルバム | COSMONAUT M3 |
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