
ひとりごとは2007.12.19にリリースされたアルバムorbital periodの11曲目に収録された曲。
つくづく思うけれど、シングルになっていないことに驚くよね。
どの曲も主役級だからアルバムにしか入っていない、orbital period聴いた人しか知らないなんてダメじゃん、と思ってしまう。
ひとりごとは「優しいって感じること」について唄われている。
その現象のメカニズムや正体を突き止めたくて藤くんが作った。
これを聴いたころはなんだか難しいことを言っているなぁと思ったの。そしてね、どうして「ひとりごと」って言っちゃうのかもわからなかった。何よりね、こんなことを考える藤くんが優しいしこの曲も優しいと思ったよ。
今はね、これは優しさだけじゃなくてあらゆる感情、感覚もこの曲で藤くんが言っていることと同じメカニズムなんだなと思う。正確に言うと私は藤くんとは違う結論なのだけどね。
優しさってなんなんだろうという疑問は藤くんが子供の頃から持っていたもの。ROCKIN’ON JAPAN2008年2月号のインタビューで、藤くんが小学生の頃にクラスでいじめがあって、いじめられた子をかばった女の子に対して「偽善者だ」と批判が上がったエピソードを話してたの。
かばった女の子は明らかに自分が周りから評価されたくてそのためにかばっていたの。だから偽善と言われたんだけど、藤くんはいじめられた女の子はそれによって助かったんだから偽善でいいし、なぜ偽善だと批判されるんだ、偽善の何が悪いんだって思ったんだって。
そういうところから、優しさっていったい何なんだろうかと考えるようになったと。
じゃあ歌詞を見てみよう。
ねぇ 優しさってなんだと思う 僕少し解ってきたよ
きっとさ 君に渡そうとしたら 粉々になるよ
ねぇ 君のために生きたって 僕のためになっちゃうんだ
本当さ 僕が笑いたくて 君を笑わせてるだけなんだ ごめんね
君に渡そうとしたら、渡せなくなってしまう。
渡そうとした時に自分のためだって気づいてしまう。君が笑ってくれたら僕が嬉しいから君を笑わせようとしている自分。自分の中にあった時は優しさだったのに、君に渡す段階で自分のためのものに変わってしまう。
ごめんね。 ごめんねって思うよね。
人に良く思われたいだけ 僕は僕を押し付けるだけ
人に良く思われたいだけ。そうかな。藤くんにはそれだけじゃない想いがあると思うよ。
僕は僕を押し付けるだけ。本当にそう。悲しい。胸が痛い。 でも私にはこれしかできない。
優しくなんかない そうなりたい なりかたが解らない
私も解らないよ。 出来ないんだよね。自分には。自分は自分をやるしかない。押し付けるのしかできない。
ねぇ 心の中に無いよ 僕のためのものしかないよ
そうじゃないものを 渡したいけど 渡したい僕がいる
渡そうとしたら粉々になると気づいてしまったら、渡そうとしなくたって、自分が誰かを想ってすることが全部、自分のためのものだと気づいてしまう。
自分のためにならないものが仮にあったとしても、渡したいという自分の気持ちに応えてあげるために君に渡すことになってしまうので、やっぱり僕のためになってしまう。 出来ない。
ねぇ 優しさってなんだと思う さっきより解ってきたよ
きっとさ 君の知らないうちに 君から貰ったよ 覚えはないでしょう
君を優しいと感じた時、その優しいをくれた君には、僕に優しくしようなんて気はなかった。
僕が勝手にそう感じたんだね。
皆 良く思われたいだけ 自分自身を売り込むだけ
優しくなんかない そうなりたい 僕が一番ひどい
藤くん。「「優しくなりたい」と願う 君は誰よりも 優しい人(Stage Of The Ground)」って唄っていたじゃない。
私はこんなに一生懸命、純度100%の優しさを人に提供したくて考えあぐねている藤くんを優しいと思うよ。
多分、藤くんを知る藤くんを除く大多数が、藤くんを優しいと思っているよ。ひどいなんて思ってないよ。 仕方ないんだよ。自分のためにしか生きられないんだ。ひどくなんかないんだ。